‘こどもの病気’ カテゴリーのアーカイブ

こどもの食中毒 家庭での注意点

2004 年 10 月 1 日 金曜日

思わぬ感染源

私の経験上、小児の食中毒はカンピロバクター、サルモネラ、病原性大腸菌によるものが多い。しかも年中起こることも特徴的です。

食中毒は冷凍・冷蔵庫のなかった昔と異なり、思わぬところから起こります。まず、食中毒で来院した患者さんは、原因として思い当たることがない人がほとんどです。

数十年も前は、シラスとかアイスクリーム、水や氷などからの感染が多いと言われていました。殺菌技術や冷凍技術が発達した今日では、これらからの感染はまず考えられません。

肉の表面に菌が付着

近年の感染源食品は、上記三種の菌では肉、卵です。牛肉、豚肉、鶏肉のいずれからも感染します。生野菜も感染源になります。注意すべきは、卵です。卵の殻はもちろん、卵の中にも菌がいることが分かっています。鶏の卵は、腸管を通って出てきます。鶏の卵巣にまで菌が逆流しているためだと思われます。幼児に生卵は食べさせない方がよい。

肉の表面には菌が付着していると考えて調理してください。実際、肉の30%くらいには病原菌が証明されると言われています。乳幼児には生まものは危険です。

生肉は食べない

肉や卵を生で食べてはいけません。肉の刺身やたたきは危険です。生肉は条虫(サナダムシ)の幼虫が含まれていることがあります。生肉は食べない方が安全です。冷凍しても菌は死滅しません。増殖はしませんが。ですから、しっかり加熱しないと感染します。ハンバーグは肉をミンチにしますから、ハンバーグの中心まで加熱しないと菌が生きています。ハンバーグによる食中毒は多い。

調理器や手が感染源

もう一つ、調理器、まな板、包丁、手などに付着している菌が、おひたしや豆腐に付着して感染することが考えられます。調理器や手の清潔、消毒に注意して欲しい。包丁の刃の根本なども気を付けて洗いましょう。肉を触ったら手洗いを十分に。

感染症と登校(園)停止期間

2004 年 8 月 29 日 日曜日

登校・登園停止期間

学校保健法による登校停止期間は、細菌学的・ウィルス学的根拠によって決めているのではありません。

患児本人の安全と周囲への感染の防止を考慮して、臨床的に決めています。従って、登校できるようになったからといって、完全に感染しないという状態ではありません。

治癒していても排菌

たとえば、溶連菌感染症では、溶連菌(溶血性連鎖球菌)は口腔内常在菌であり、集団の中には一定の比率で常在しています。一旦流行すると拡大しますが、流行が治まっても溶連菌保持者(健康保菌者)はいます。

カンピロバクター腸炎やサルモネラ腸炎は小児で多い細菌性腸炎ですが、下痢が治ってからも長い間菌を排出していることが分かっています。完全に下痢が治ってから登園させても、被感染者は出て来る可能性があります。手洗いとか便の始末をしっかりすることが重要です。

厳密な登校停止期間は決められない

一般に、感染症は発病直前と発病後数日が最も感染力があります。

発病後すぐ登校停止させてもすでに被感染者はいるわけです。厳密に登校停止させても誰かが発病してしまいます。登校停止はあくまでも本人の安全と病気が一挙に拡大するのを防ぎ、感染者数を減らすことにあります。

以上のような理由から、決められたとおりにしていても、被感染者は出ます。学校・園にとっても家族にとっても納得できる登校・登園停止期間が合理的です。

夜間の急な発熱

2004 年 8 月 22 日 日曜日

すぐに救急受診が必要なのは、
(1)40℃以上の発熱、(2)意識障害、(3)10分以上の痙攣、(4)4、5回以上の嘔吐で水分も飲めない、(5)顔色不良(顔面蒼白)、(6)全身の発疹、(7)呼吸困難といった症状が認められる場合です。

特に、2つ以上の症状がある場合は救急受診が必要です。

また、これら以外のケースでも心配であれば小児科や急患センターなどを受診しましょう。 発熱の場合には“何の病気か”とあれこれ考えるよりも、発熱以外の症状の有無をきちんと見極めることの方が重要です。

3ヶ月未満児の発熱

2004 年 8 月 22 日 日曜日

3ヶ月未満児の発熱は早めに受診

3ヶ月未満の赤ちゃんで38℃以上の熱があれば、受診が必要です。乳児でかぜの症状が2日ほど続いたら早めに受診しましょう。

呼吸困難は救急受診

苦しそうで呼吸が速い、ぐったりしていて顔色が悪いなどの場合は、夜中でも急いで受診しましょう。

かぜ症状だけなら診療時間内受診

せきや鼻水が出てきげんが悪い、食欲がない、発熱した、などの症状であれば診療時間内にみてもらいましょう。

せきや鼻水が出ても、きげんがよく食欲もあれば様子を見ていてもよいでしょう。

熱さましは、医師の指示で使いましょう。できるだけ冷やすだけの方がよい。

子どもの発熱

2004 年 8 月 15 日 日曜日

37.4度で保育園早退!?

37.4度までは発熱とは言いません。これは小児科医の常識です。たとえば、予防接種の時、37.4度までは他に異常がなければ予防接種ができます。これは厚生労働省が認めた公式見解です。37.4度以下で保育園を早退させるなど非常識です。

37.5度から37.9度までは微熱と考えています。微熱ということはこの体温では様子を見るということです。次に測ったとき37.4度以下なら、そのまま様子を見てよいと思います。

従って、37.4度以下なら子どもの様子を見るだけでよいし、37.9度以下なら心配ないと子どもに告げて、しばらくしてもう一度体温を測ればいい。早くから病気じゃないかとか心配するようなことを子どもにいわないほうがいいでしょう。

38度以上は発熱

38度以上の場合は、家から外に出さないようにして静かにしているのがいいと思います。他に異常がなく、元気で、食欲もあれば、そのまま様子を見るのがいい。多くはカゼですから、病院に行っても冷やして下さいと言われるだけです。ウイルス性のカゼにマイシンは効きませんから。3日以上発熱が続けば受診が必要です。

39度を超えたら、心配な様子があれば救急受診する方がよいでしょう。

解熱剤は病気を悪くする

解熱剤(熱さまし)は、免疫力を落とし、病気を治りにくくします。できるだけ使わない方がよい。強力な熱さまし(非ステロイド系)は、病気を悪化させます。たとえば、インフルエンザ脳症に非ステロイド系解熱剤を使うと、死亡率が14倍にもなります。

高熱だけで脳障害を来すことは普通はありません。脳障害を来すのは、高熱の原因が髄膜炎や、脳症・脳炎であることがあるからです。高熱で脳障害を来すなら、インフルエンザ流行の後は脳障害者がいっぱいいることになるでしょう。

変色歯-テトラサイクリン系抗生剤(ミノマイ、ビブラなど)による副作用

2004 年 7 月 29 日 木曜日

テトラサイクリン系の抗生剤は、永久歯があごの骨の中で発育する出生直後から6、7歳頃までの期間に、内服や注射で使用すると、歯の象牙質に沈着する。永久歯が生えてくるまで着色は分からない。生えてきたときは茶褐色の汚れた感じの歯で、治療は削って歯冠をかぶせるしかない。

私はテトラサイクリンが層状に沈着した着色歯の標本の写真を見たときから、ミノマイやビブラは一切使っていない。最近は、マクロライド系のいい薬が出来ていてテトラサイクリンを使用しなくても十分対応できる。

マイコプラズマ感染症(いつも肺炎になるわけではないし、マクロライドが有効)に今も、テトラサイクリン系抗生剤はよく使用されている。永久歯があごの骨の中で発育する期間は絶対に使用すべきではない。

マクロライド系抗生剤は苦いので、薬を飲まない子はテトラサイクリン系を処方されることがある。ミノマイやビブラである。「マクロライドは苦いです。テトラサイクリン系はのみやすいが歯が茶色になりますよ」というと、「苦くてものませます」と全てのお母さんが言う。

かぜにマイシンは「無効」の指針 日本感染症学会

2004 年 7 月 28 日 水曜日

カゼの原因の約80%はウイルス感染

カゼの原因は多くはウイルスです。ウイルスにマイシンは効きません。ですから、熱が出ても、のどがひどく赤いとか、咳や痰が多いとか、細菌感染を思わせる症状がなかったらマイシンはのまない方がよいのです。

マイシンの多用は有害

日本呼吸器学会は、成人気道感染症の指針で「かぜへの抗生物質の使用はできるだけ控える」としました。川崎医科大学 松島敏春教授は「日本の感染症指針は、海外に比べ10年遅れている」と述べています。

日本感染症学会も「かぜに抗生物質は無効。細菌性二次感染の予防目的の投与も必要ない」としています。

日本は欧米に比してマイシンを使いすぎています。マイシンを多用すると、耐性菌が増え、医療費が増加し、医療財源を圧迫します。

発熱したらすぐにマイシン服用は間違い

発熱しても、熱以外に特に症状がない場合は、マイシンは飲まない方がよい。3日間以上発熱熱が続く場合は受診しましょう。

マイシンをのむと、腸内細菌が死滅し、下痢を起こすことが多い。食欲もなくなります。まれに白血球減少などの激しい有害作用を起こすこともあります。

抗生物質(マイシン)について

2004 年 4 月 25 日 日曜日

抗生剤は解熱剤ではありません

子どもが発熱すると、マイシンをのませたくなるものです。でもマイシンは熱冷ましではありません。細菌感染による発熱で有効なマイシンをのむと、病気が治癒傾向に向かい結果として熱は下がります。

抗生剤の使いすぎに注意しましょう

子どもの発熱の多くは、ウィルス感染です。ウィルス感染にはマイシンは効きません。おたふくかぜ、ウィルス性胃腸炎、水痘、風疹、突発性発疹、インフルエンザなどの場合は、ウィルス感染であることがほぼ明らかですから、発熱していてもマイシンをのまない方がよいのです。

細菌感染でも、治癒したら早くやめる方がよいと思います。

抗生剤の副作用

抗生剤の一番多い副作用は下痢と食欲不振です。特に1-2歳までの乳幼児では下痢をしやすい。他に、発疹、白血球減少、血小板減少、溶血性貧血、ショック、偽膜性腸炎、肝障害など多くの副作用があります。ですから、治癒したら早く止めましょう。

発疹は小児の感染症ではよく見られるので、薬による発疹と区別することが重要です。

発疹以外の重い副作用は、経口投与ではごくまれな副作用です。

耐性菌について

抗生剤の使いすぎによって耐性菌が増えて問題になっています。特に、セフェム系の抗生剤は耐性菌が出やすいので、出来るだけ使わないようにしましょう。必要最小限に使用することです。ペニシリン系やマクロライド系の抗生剤は耐性菌が出来にくい。
 

子供の喘息 (小児喘息、気管支喘息)

2004 年 1 月 1 日 木曜日

 ホコリ・ダニを減らしましょう!
 喘息とは 「ヒュ-ヒュ-、ゼ-ゼ-いうような呼吸(喘鳴)を伴った呼吸困難発作が繰り返し起こり、ほかの病気でないもの」をいいます。
喘息の原因 
 日本の小児においては、気管支喘息の約8-9割はダニ(主にヒョウヒダニ)が原因と言われています。ヒョウヒダニは部屋のホコリの中にたくさんいます。小児の喘息発作の大部分はダニのアレルギ-反応によって起こるのです。
 ダニ以外では、まれに卵、牛乳、大豆、小麦、ソバなどの食物が原因となって喘息様の症状が出ることがあります。
 また、カビ、犬や猫の毛・フケの他、昆虫(ゴキブリ、ユスリカ)、まれに花粉が原因となって喘息が起こることがあります。 
◆アレルギ-以外でも次のようなことが原因や誘因となり喘息が起こることがあります。
 1)カゼをひいたとき
 2)気象の変化 低気圧や台風、急激な気温の低下
 3)精神的ストレス
 4)大気汚染 けむり(蚊取線香、花火、タバコなど)など
ダニ対策・部屋の環境と設備
 ★アレルギ-の原因を取り除こうとすれば、大部分の喘息児にとっては、ダニを除去することがもっとも効果があります。花粉や大気汚染は家庭ではどうにもなりませんが、ダニは減らすことができます。
 ★ダニは目には見えませんが、家屋内にはたくさんのダニがいます。気密がよくて、冷暖房のある部屋には特にたくさんいます。アレルギ-を起こすのは主にチリダニ(ヒョウヒダニ)といわれています。その体長は 0.2-0.3mmで高温と乾燥に弱い性質があります。

 ★じゅうたん、カ-ペットは必ず撤去する(できれば畳より板床のほうがよい)。
 ★布製ソファ-・椅子・ぬいぐるみもできるだけ除去してください。
 ★ペットを室内で飼わない(ダニ・カビを持っています。またダニはペットのフケを食べて繁殖します)
 ★家具・調度品(ホコリがたまりやすい)はできるだけ少なくし、掃除しやすいように
 ★寝具
  ◇ふとんは羽毛・羊毛・真綿を使わない。枕は洗えるものがよい。ソバガラは使用しない。
  ◇ふとん、毛布は頻繁に干し(裏表とも十分に)、よくたたいたあとは、両面を掃除機で吸い取る。
  ◇ふとん乾燥機も効果があります。
  ◇ふとんの丸洗いはもっとも効果があると言われています。
   毛布・ふとんカバ-・シ-ツも週1回の水洗いが有効です。
  ◇朝、布団はすぐたたまない方が、湿気が取れてよい。
 ★掃除
  ◇掃除はこまめに行うのがよい。掃除の効果は確実。特に寝室は毎日するほど、ダニは減少します。
  ◇エアコンのフィルタ-の掃除もしましょう。
防ダニ器具 
 ★防ダニ寝具
  ◇2種類あります。
   ①合成繊維の目を非常に細かく、高密度にして、ダニが入り込めないようにしたもの。縫い目の大きいものはダニが侵入する。割合、高価である。
   ②薬剤加工してダニを寄せ付けないようにしたもの。薬剤効果が低下する。薬剤の安全性が気にかかる。
 根気よく、ダニ退治を続けると、だんだん喘息がでなくなります。
目に見えない敵をやっつけるのは、難しいけれど、頑張ってください。

インフルエンザとSARS(重症急性呼吸器症候群)

2004 年 1 月 1 日 木曜日

去年の冬は、久方ぶりにインフルエンザが大流行しました。一般的には、流行年の翌年はあまり流行していません。今年の特徴はSARS(重症急性呼吸器症候群)問題が絡んで、複雑になりそうです。SARSとインフルエンザの初期症状が似ているので区別がつきにくく問題になっています。ただし、SARSは流行地へ旅行したり、SARS患者と接触したりしていなければ発病することはありませんからむやみに心配することはありません。
海外旅行していなくて、日本でSARSが流行していなければ、インフルエンザに注意していればよいと思います。