‘こどもの病気’ カテゴリーのアーカイブ

新型インフルエンザ流行に思う  2009.9.26

2009 年 9 月 26 日 土曜日

 新型インフルエンザが流行して騒然としている。その割に当院で診断するインフルエンザ患者は多くない。インフルエンザ検査キットを使っての検査は多いのだが、陰性が圧倒的に多い。大阪などの都市部では流行っているようだが従来の流行期ほどではないと思う。
 新型インフルエンザは恐ろしいと思われているのでしょうが、従来型に比して肺炎や脳症が多いのかどうかははっきりしない。今は話題になっていてマスコミが盛んに取り上げるので余計に恐れられている。
 やはり冷静に反応したいものだ。流行地に行ってない、家族に発病者がいない、子どものクラスや友人に患者がいなければ、インフルエンザの可能性はないのだから、あわてて検査をしても痛いだけ損だ。
 学会やマスコミなどが、抗インフルエンザ薬の早期投与を盛んに言っているが重症者の報告を読んでいると、抗インフルエンザ薬の投与の有無にかかわらず重症者がいることがわかる。水うがい・マスク・手洗いをすること、何より、栄養と睡眠をしっかり取って、流行地に近寄らないことなどが重要だと思う。罹っても、殆どの人は軽症に済んでいるのだから、安静・栄養・睡眠を十分にとって、解熱剤を使わずにいることが肝要だ。解熱剤は病気を長引かせるし、脳症を悪化させ死亡率を上げることが分かっている。頭や脇下などを冷やすのはよい。

新日本脳炎ワクチン(細胞培養日本脳炎ワクチン)認可  2009.6

2009 年 6 月 17 日 水曜日

 細胞培養日本脳炎ワクチン「ジェービックV」が漸く認可された。
 旧日本脳炎ワクチンは、猿の脳を使用していたため急性散在性脳脊髄炎(ADEM)の発症と関連があるのではないかという指摘があり、厚労省の指導によって「接種勧奨の差し控え」になっていた。
 新ワクチンは、猿の腎臓細胞を培養して制作しているので、ADEMの発症が減るのではないかと期待されている。
 ADEMという病気は、ワクチン接種とは関係なく発症することがあり、又、他のワクチンでも発症することが知られている。新日本脳炎ワクチンでADEMの発症が減るか否かは不明である。ADEMは旧日本脳炎ワクチンでも、100万回から200万回接種に一人発症するというまれな病気であるから、新ワクチンでも少なくとも200万回接種しなければ分からないということだ。
 新ワクチンは今のところ、供給量が少なく、事前に申し込みをしないと入荷しないので希望の方はかかりつけ医に申し込みしなければなりません。
 今のところ新ワクチンはⅠ期のみに適用され、Ⅱ期には使用できません。Ⅱ期は旧ワクチンで接種可能です。

豚インフルエンザウィルスが人に感染か 2009.4.26

2009 年 4 月 26 日 日曜日

 世界保健機関(WHO)は24日、メキシコと米国で、最近数週間に豚インフルエンザの人への感染が相次ぎ1000人以上が発病、メキシコ市周辺で約60人が死亡した疑いがあることを明らかにした。
   今回、米国で確認されたウイルスはH1N1型亜型。日本で流行しているソ連型インフルエンザウィルスもH1NIだが、異なる株だという。
   東北大の押谷仁教授(ウイルス学)は、H1N1型は人の間でも流行しているウイルスだが、豚と人では微妙に違い、「メキシコでウイルスが人から人に感染して、米国に広まったとしたら、世界的な大流行に発展する恐れもある」と指摘する。
 アジアを中心に人間に感染が広がっているのは、高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)ウイルスで、豚ウイルス自体の変異を想定したワクチンは用意されていない。
 オセルタミビル(タミフル)とザナミビル(リレンザ)は有効とのことである。インフルエンザで重症化するのは細菌性肺炎になるからであり、日本のように医療制度が整備されているところでは死亡率は高くないと思われる。

Hibワクチン(インフルエンザ菌b型ワクチン)発売予定  2008.11.6

2008 年 11 月 6 日 木曜日

2008年12月、日本でもHibワクチンが発売される。日本では、Hibワクチンは任意接種として扱われる。接種対象年齢は、生後2カ月~5歳まで。標準開始年齢は生後2~7カ月未満で、初回免疫として4~8週間の間隔で(医師の判断によっては3週間でも可)3回、追加免疫として約1年後に1回接種を行う。

ふたばクリニック(東京都世田谷区)院長の廣瀬久人氏は、「Hib髄膜炎の罹患年齢は生後3カ月~1歳がピーク。早い時期から接種して抗体を獲得させることが何よりも肝心だ」と言っている。初回免疫だけでは抗体価が長期間持続しないため、追加接種も必ず受けることが大切だ。
接種時期はDPTワクチンとの同時接種となる。費用は自己負担で、1回7000円位の予定だという。
重篤な副反応の報告はなく、報告された副反応のほとんどが発赤、腫脹、硬結などの軽微なものにとどまっていたということだ。

迅速溶連菌検査キット陽性で抗生剤の服用は必要か

2006 年 5 月 19 日 金曜日

溶連菌感染症ではペニシリンの内服を

発熱、咽頭痛、特徴的な咽頭の所見、発疹などの症状があれば、溶連菌感染症の診断はそれほど難しくない。更に、迅速溶連菌検査が陽性であれば診断は確実である。抗生剤を必ず服用しなければならない。ペニシリン系抗生剤を10日間内服すると除菌できるという。セフェム系抗生剤も有効だ。

のどの痛みだけでは、溶連菌が陽性でも「保菌状態」であり、抗生物質の投与は必要ないということになっている。

保菌者でも迅速溶連菌検査陽性

最近の迅速溶連菌検査キットでは、1000~10000個、菌があれば陽性に出る。細菌数が10000個 あれば発病しているというのが普通の考え方である。1000個 で陽性というのは保菌状態を捉えているということになる。この時は治療は必要ないし、腎炎やリウマチ熱になる可能性もない。

溶連菌の保菌者は10~20%

溶連菌の保菌者は、幼児・学童の10%から20%もあり、保菌者の除菌は困難である。抗生剤を10日間服用しても、またいつのまにか保菌者になるという。従って、保菌者の抗生剤内服はムダというのが一般的な見解のようだ。

かぜ予防に水うがいが有効、発症4割減る

2006 年 2 月 19 日 日曜日

2005年10月28日、京大保健管理センター 川村孝教授らのグループが発表

水うがいが有効

グループは2002年~2003年冬に、全国で18~65歳の計約380人のボランティアを、水うがい▽ヨード液うがい▽何もしないの3群に分けて2ヶ月間追跡調査。うがいは15秒以上を2度、1日3回以上実施した。

その結果、水うがい群は何もしない群に比べて風邪の発症が4割減ったという。

ヨード液うがいは無効

一方、ヨード液群には、グループの予想に反し、はっきりした予防効果がみられなかった。ヨードうがい液を販売している明治製菓(東京)は、のどを殺菌・消毒する治療薬であり、風邪予防効果はもともとPRしていないといっている。

お茶も有効か

お茶のカテキンは、細菌やウィルスが粘膜に付着するのを防ぐので、お茶によるうがいも効果があるのではないかと考えられる。番茶、ほうじ茶、紅茶もいいのでは。

予防には水うがい、風邪を引いたらヨード液うがいを

ノロウィルスによる胃腸炎は恐い?

2005 年 2 月 1 日 火曜日

広島県福山市特別養護老人ホームで6名が死亡

このニュースでパニックになっている保育園や幼稚園があります。当院外来でも、下痢のこどものお母さんが大変心配そうに「ノロウィルスではないでしょうか」ときくようになりました。

ノロウィルス感染による嘔吐下痢症は多くは軽症で、死ぬことは滅多にありません。今冬、嘔吐下痢症は多いですが、こどもで死んだという話は聞きません。米国での死亡率は10万人に1人ということです。

食品を媒介とする食中毒

貝類を生で食べると感染します。こども・老人には生ガキを食べさしてはいけません。人から人へ感染もするようです。接触感染(便や吐物を触った手指から経口感染)するので注意が必要です。

この数年に250件前後、約1万人の報告あり、決して少なくありません。ウィルスの検出ができるようになったので今後はもっと増えるでしょう。現在は、保険がきかないので検査料は高額(12000円くらい)です。

症状は嘔吐、下痢などで、ひどければ脱水になるでしょう。症状が治まっても2-3日は感染するようです。感染すると抗体ができるが、6-8ヶ月で消えるので何度も感染する可能性があるそうです。

消毒方法

アルコールには強く、逆性石けんは無効です。85度以上、1分以上で不活化します。

次亜塩素酸ナトリウム(ミルトンなど)に浸すと失活します。

予防は手洗い

石けんでよく手を洗うことが重要です。タオルを共用しないようにしましょう。吐物は、素手で触らないで、塩素系消毒薬を薄めて拭き取る必要があります。下痢や嘔吐などの症状のある調理従事者は、食品を取り扱わないようにしましょう

こどもの食中毒 家庭での注意点

2004 年 10 月 1 日 金曜日

思わぬ感染源

私の経験上、小児の食中毒はカンピロバクター、サルモネラ、病原性大腸菌によるものが多い。しかも年中起こることも特徴的です。

食中毒は冷凍・冷蔵庫のなかった昔と異なり、思わぬところから起こります。まず、食中毒で来院した患者さんは、原因として思い当たることがない人がほとんどです。

数十年も前は、シラスとかアイスクリーム、水や氷などからの感染が多いと言われていました。殺菌技術や冷凍技術が発達した今日では、これらからの感染はまず考えられません。

肉の表面に菌が付着

近年の感染源食品は、上記三種の菌では肉、卵です。牛肉、豚肉、鶏肉のいずれからも感染します。生野菜も感染源になります。注意すべきは、卵です。卵の殻はもちろん、卵の中にも菌がいることが分かっています。鶏の卵は、腸管を通って出てきます。鶏の卵巣にまで菌が逆流しているためだと思われます。幼児に生卵は食べさせない方がよい。

肉の表面には菌が付着していると考えて調理してください。実際、肉の30%くらいには病原菌が証明されると言われています。乳幼児には生まものは危険です。

生肉は食べない

肉や卵を生で食べてはいけません。肉の刺身やたたきは危険です。生肉は条虫(サナダムシ)の幼虫が含まれていることがあります。生肉は食べない方が安全です。冷凍しても菌は死滅しません。増殖はしませんが。ですから、しっかり加熱しないと感染します。ハンバーグは肉をミンチにしますから、ハンバーグの中心まで加熱しないと菌が生きています。ハンバーグによる食中毒は多い。

調理器や手が感染源

もう一つ、調理器、まな板、包丁、手などに付着している菌が、おひたしや豆腐に付着して感染することが考えられます。調理器や手の清潔、消毒に注意して欲しい。包丁の刃の根本なども気を付けて洗いましょう。肉を触ったら手洗いを十分に。

感染症と登校(園)停止期間

2004 年 8 月 29 日 日曜日

登校・登園停止期間

学校保健法による登校停止期間は、細菌学的・ウィルス学的根拠によって決めているのではありません。

患児本人の安全と周囲への感染の防止を考慮して、臨床的に決めています。従って、登校できるようになったからといって、完全に感染しないという状態ではありません。

治癒していても排菌

たとえば、溶連菌感染症では、溶連菌(溶血性連鎖球菌)は口腔内常在菌であり、集団の中には一定の比率で常在しています。一旦流行すると拡大しますが、流行が治まっても溶連菌保持者(健康保菌者)はいます。

カンピロバクター腸炎やサルモネラ腸炎は小児で多い細菌性腸炎ですが、下痢が治ってからも長い間菌を排出していることが分かっています。完全に下痢が治ってから登園させても、被感染者は出て来る可能性があります。手洗いとか便の始末をしっかりすることが重要です。

厳密な登校停止期間は決められない

一般に、感染症は発病直前と発病後数日が最も感染力があります。

発病後すぐ登校停止させてもすでに被感染者はいるわけです。厳密に登校停止させても誰かが発病してしまいます。登校停止はあくまでも本人の安全と病気が一挙に拡大するのを防ぎ、感染者数を減らすことにあります。

以上のような理由から、決められたとおりにしていても、被感染者は出ます。学校・園にとっても家族にとっても納得できる登校・登園停止期間が合理的です。

夜間の急な発熱

2004 年 8 月 22 日 日曜日

すぐに救急受診が必要なのは、
(1)40℃以上の発熱、(2)意識障害、(3)10分以上の痙攣、(4)4、5回以上の嘔吐で水分も飲めない、(5)顔色不良(顔面蒼白)、(6)全身の発疹、(7)呼吸困難といった症状が認められる場合です。

特に、2つ以上の症状がある場合は救急受診が必要です。

また、これら以外のケースでも心配であれば小児科や急患センターなどを受診しましょう。 発熱の場合には“何の病気か”とあれこれ考えるよりも、発熱以外の症状の有無をきちんと見極めることの方が重要です。